宇宙利用のいま
  • 2025.02.03 Mon

宇宙空間でのCM撮影が、企業PRの新たなステージに!

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上の写真:「きぼう」日本実験棟船内に浮かぶ大阪ラセン管工業株式会社の製品「ワームフリーフレックス」

宇宙CMといえば、ひと昔前であれば日清食品のカップヌードルのCM「NO BORDER」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。宇宙空間での撮影は、当時としては非常に斬新で、多くの人々の心を掴みました。最近では、宇宙をテーマにした企業CMが増え、企業の未来感や先進性を表現する手段として注目されています。

そんな中、CGではなく、実際に宇宙空間で撮影できる制度があることをご存じでしょうか?
2024年、大阪ラセン管工業株式会社(本社:大阪府大阪市 以下、大阪ラセン管工業)の製品「ワームフリーフレックス」が、国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられ「きぼう」日本実験棟で撮影されました(上記写真)。この画期的なプロジェクトは、今や、宇宙でのCM撮影が手の届きやすい、現実的なものになったことを教えてくれます。

目次
「ワームフリーフレックス」とは?

「ワームフリーフレックス」は、従来のフレキシブルチューブとは一線を画す、超柔軟成形フレキシブルチューブです。ゴムホースのようなしなやかさと優れた耐久性を兼ね備えており、作業性の向上と長寿命が期待できます。この高い品質から、近年「きぼう」日本実験棟で採用され、実際に宇宙で使われるようになりました。このような背景から、大阪ラセン管工業は宇宙でのCM撮影を行いました。

宇宙での撮影の背景とJAXAの「きぼう有償利用制度」

今回の撮影は、JAXAの「きぼう有償利用制度」を活用して実現しました。この制度により、企業はISSの「きぼう」日本実験棟を利用してCM(コマーシャルメッセージ)撮影を行うことができます(2025年1月現在、2026年6月までに実施する案件は募集締め切り)。本CM撮影の実現にあたっては、有人宇宙システム株式会社(以下、JAMSS)が技術的な支援を行いました。JAMSSは「きぼう」日本実験棟の利用・運用を15年以上支えてきた宇宙利用のエキスパートです。計画から撮影まで並走し、撮影当日は大阪ラセン管工業、JAMSS、そしてJAXAの関係者が見守る中、「きぼう」船内で作業する宇宙飛行士と地上の管制員がリアルタイムで交信しながら、約2時間にわたって撮影が行われました。

撮影の挑戦と成果:宇宙でのCM撮影の成功要因

「ワームフリーフレックス」は非常に柔軟なため、撮影中に想定外の動きをすることがありました。しかし、試行錯誤を繰り返しながら、最終的には予定していた撮影を無事に終えることができました。撮影動画の公開はこれからです。完成が楽しみですね!

ひと昔前であれば、宇宙CMを撮影する場合、一からすべて自社でプロジェクト化し莫大な費用と時間をかけて準備する必要がありました。しかし現在では、JAXAの「きぼう有償利用制度」を活用することで、企業側の負担を抑えて宇宙でのCM撮影が現実のものとなります。宇宙空間での製品PRは、企業にとって新たなマーケティングの可能性を広げるものであり、今後も注目されることでしょう。

Source
大阪ラセン管工業株式会社 公式サイト
「きぼう」日本実験棟を利用したCM撮影案件の募集

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