MISSE（ミッシー）は、材料や装置のサンプルを、国際宇宙ステーション(ISS)の船外環境に一定期間晒すことで、過酷な宇宙環境がそれらに及ぼす影響や耐久性を調べることができるプラットフォームです。これまでの利用者が搭載したサンプルには、カメラシステム、電子機器、材料サンプル、布地、送信機、簡易な生命科学実験などがあります。

宇宙飛行士が普段生活しているISSの船内と違い、船外環境は空気がほとんどない高真空環境であり、かつ宇宙放射線を遮る防護壁がありません。また、宇宙空間に晒されているMISSEのプラットフォーム上では、昼と夜では温度差が120℃もあり、とても過酷な環境です。
これらの特殊な環境は、一般的に材料の劣化を加速させるため、地上での実験よりも短い期間で、劣化する過程を観察できるのです。

MISSEに搭載できる材料のサンプルのサイズは、手のひらサイズから両手で抱えるサイズまで（最小5cm3から最大26,700 cm³まで）自由度があり、Carrier（キャリア）と呼ばれるプラットフォーム上に設置されます。1つのCarrierを占有することも可能です。オプションで電力も供給でき、装置を運転させることもできます。
MISSEの特徴とサービス内容は以下の通りです。

● 特徴
・地上およそ400km上空（地球低軌道）の船外環境にサンプルをさらす
・サンプルの設置位置を選択可能（地球側に向ける、地球と反対側に向ける等）
・固定価格、ターンキーサービス
・年に2回の打上げ・回収の機会あり（ISS運用期間中の2030年まで）
・モジュール式キャリア（必要に応じてカスタマイズ可能）
・サンプルへの電力供給有無を選択可能
・写真と継続的なデータ収集
・試験期間は6ヶ月（通常）またはそれ以上
・技術実証、基礎科学、または商業品に利用可能

● サービス内容
最大50Wの28V DC電源、イーサネット、USB、CAN、RS422データ接続、サンプルの写真（試験期間に毎月撮影し提供）、紫外線強度データ、原子状酸素データ、全電離線量放射線データ、太陽電池テストベッド接続など。

MISSEは、NASAが示すTechnology Readiness Levelにおいて、最高レベルの９(※)を獲得しています。2022年末時点で8回のミッションを行い、22のCarrierと共に1,000個以上のサンプルの試験を実施してきました。2030年までのISS運用期間中は、MISSEは、年2回の頻度で打ち上げられる予定です。
(※)レベル9とは、ミッションの成功により「フライト実証」された実際のシステムであることを意味します。

MISSEのサービスを提供する企業、イージス・エアロスペース社（Aegis Aerospace）は、テキサス州ヒューストンに本社を置き、国際宇宙ステーションを含む10か所で事業を展開しています。同社は、スペースシャトル時代から30年近くに渡り、米国の宇宙・防衛分野で実績を持つMEI Technologies Inc. (MEIT)と、宇宙・防衛の総合サービス企業Alpha Space Test & Research Alliance (Alpha Space)の合併により2021年に設立されました。米国を中心にサービスを展開する宇宙企業です。

企業担当者より日本の皆さんへご挨拶！
「私たちイージスは、日本の皆さんが軌道上でやりたいこと＝試験目的を達成するために、共に働ける日を楽しみにしています。ご自身の技術に集中できるよう、他のすべての作業は、私たちがサポートさせて頂きます。」

「自分たちの材料が宇宙環境に耐えうるのか確認したい」「自分たちの装置が宇宙環境でも問題なく動作するのか確認したい」など様々な要望をMISSEで叶えてみませんか？